2008年5月1日木曜日

悩みとともに



仏教では誰でも仏になる種(仏性)をもっていると考えます。それを育てていくのが仏教の目的でもあります。そして仏性以外に我々がもっているもの、それは煩悩です。それが邪魔するためになかなか仏性は表にでてきません。

「如来蔵経」という経典にはこの2つの関係を説明した話が載っています。

そこでは煩悩をミツバチ、仏性を蜜に喩えています。
蜜(仏性)を手に入れるためにはミツバチ(煩悩)を追い払わなければならず、しかしミツバチ(煩悩)を殺すと次回に蜜(仏性)を手に入れることはできません。よってミツバチ(煩悩)はそのままにして、蜜(仏性)を得ることを考えなくてはいけません。

お見事な喩えです。私は次のように考えてみました。
煩悩を『悩み』に、仏性を『よりよく生きたい自分』に置き換えます。
よりよく生きようとすると、そうでないと困るから必ず悩みが付きまとってきます。
しかし、その悩みをとろうとせずに、そのままにして、生きていくということです。

煩悩であれ、悩みであれ、悪いものとしてとらえがちですが、そうではなく、それらと共存していくことも大切だと思っています。



参考文献 「お寺の経済学」 中島隆信著 東洋経済新報社

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