2008年4月12日土曜日

死神の精度と一休さん



「死神の精度」(伊坂幸太郎著)

暗くて重たい話かと思いきや、とても楽しく読めた作品でした。
短編だったので、最初はちょっとがっかりでしたが、読んでみるとうまく一つにまとまっています。淡々と仕事をこなす死神なのですが、ちょっと人間らしさの残っている死神。笑ってしまうようなところもありました。彼の全作品を読みたくなりましたね。

いつ訪れるかわからない「死」について、一休さんの話を思い出しました。

裕福な商人がおめでたい言葉を書いて欲しいと一休さんに頼みました。
書いた言葉は、「親死ぬ、子死ぬ、孫死ぬ」
それを見た商人はカンカンに怒りました。しかし一休さんは商人に対して言いました。こんなめでたい言葉はありませんよ。それとも、「孫死ぬ、子死ぬ、親死ぬ」というほうがめでたいですか?あなたにはこのめでたさがわからないようですね。年寄りのあなたより孫が先に病気でなくなった方がいいですか?代わってやりたくても代われないですよ。

順番どおりに死ぬことはとても難しいことです。もし年齢順に死んでいったらそれはめでたいのです。しかし現実はそうもいきません。順番なんて最初からないのです。死は必ず遅かれ早かれやってきます。だからこそ、与えられた命を精一杯生きなさいと一休さんは仰っているのでしょう。

死神がいつ来るのかわかりません。だからこそ「切に生きる」ということを忘れてはいけませんね。

次は↓「ゴールデンスランバー」を読みたいなと思っています。

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