ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎著
●2008年本屋大賞受賞(全国書店員が選んだいちばん売りたい本)
●山本周五郎賞
●直木賞は候補にあがっていたが辞退
(理由:直木賞の影響力の大きさを考え、穏やかに執筆したいとの思いからである)
主人公が首相暗殺事件の犯人に仕立て上げられ、とにかく逃げる・逃げる・逃げる。結末はハッピーエンドではない。
500ページにも及ぶ長編作であるが、いったん伊坂ワールドに浸ってしまえば、「そんなの関係ない、そんなの関係ない」。スピード感あり、巧妙な伏線あり、期待を裏切るストーリーなど帯にも書かれていたが「伊坂的娯楽小説突抜頂点」でした。
本の中では様々な人と出会えるが、今回特に面白かったのはロック好きな花屋の岩崎さん。嬉しい出来事があると「ロックだな」と喜んだり、嫌なことを押し付けられると「それはロックじゃねぇだろう」と怒ったりしていた。基準がよくわからないが(笑)
主人公に「青柳、お前はロックだよ」という台詞はかっこよかった場面である。
世間では「伊坂節」と言われているようですが、とても心に残るセリフも多い。
「人間の最大の武器は習慣と信頼だ」
習慣と信頼という日常何気なく使われる言葉がこの作品の中で輝いてくる。
主人公の父親のマスコミに向けた言葉です。
「名乗らない、正義の味方のおまえたち、本当に雅春が犯人だと信じているのなら、賭けてみろ。金じゃねえぞ、何か自分の人生にとって大事なものを賭けろ。おまえたちは今、それだけのことをやっているんだ。俺たちの人生を、勢いだけで潰す気だ。いいか、これがお前達の仕事だということは認める。仕事というのはそういうものだ。ただな、自分の仕事が他人の人生を台無しにするかもしれねえんだったら、覚悟はいるんだよ。バスの運転手も、ビルの設計士も、料理人もな、みんな最善の注意を払ってやってんだよ。なぜなら、他人の人生を背負っているからだ。覚悟を持てよ」
読み返してみると新たな発見もあり本当に楽しめた本でした。
絶対お薦めです。因みに島の図書館では貸し出し中でした。
購入しても損はしない本だと思います。
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