お寺の近くにお婆さんが一人で住んでいました。
このお婆さんはいつも泣いていました。
そのことを知ったお寺の和尚さんは哀れに思い、お婆さんの家を訪ねました。
「いつも泣いていますが、何が悲しいのですか?」と尋ねると
お婆さんは
「私には二人のかわいい娘がおりました。一人は傘屋に嫁いでいます。
でも晴れの日は傘が売れずに困っているだろうと考えると
涙があふれてくるのです。
もう一人の娘は下駄屋に嫁ぎました。でも雨の日は下駄が売れずに
困っているだろうと考えると、また涙があふれてくるのです。」
話が終わってからまた泣き出しました。
話を聴いた和尚さんはやさしくお婆さんに伝えました。
「お婆さん、晴れたら下駄屋の娘さんは喜んでいて、そして雨が降ったら
傘屋の娘さんが喜んでいるんですね。」
お婆さんは「そうですね」と言い、それからニコニコと暮らせるようになりました。
いかに人が楽しく暮らせるようになるのか、その方法が仏教なのです。
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