2009年8月3日月曜日

報復のない世界

法然上人は幼くして夜討ちにあった父を亡くしました。
父親は死ぬ間際、法然上人に
「決して仇討ちをしてはいけない。仇討ちをすれば、恨みは恨みを呼んで、決して治まることはない。出家して私を弔い、自分も苦しみから逃れる道を探しなさい」と言い息を引き取りました。
平安末期、親が殺されたなら仇を討つのは当たり前の時代だったようです。

33個目の石(森岡正博著)という本があります。
自殺や脳科学、環境問題などなど、思索したエッセイなのですが、
その中で、「33個目の石」というタイトルで
2007年に起きたアメリカの大学での銃の乱射事件のことが書かれていました。
キャンパスにはその事件で亡くなった人を悼む32個の石が置かれました。
しかし、そこに石を加えた学生がいました。
それは、33個目の石です。
その石は、自殺をした犯人を悼むものでした。
石は誰かが持ち去りましたが、また別の人が石を置いていきました。

報復のない世界はいつ訪れるのでしょうか?

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