平城遷都1300年記念のシンポジウムの基調講演での薬師寺、安田暎胤長老のお言葉です。
国をまほろばにするために、私は、感謝、慈悲、敬う、わびる、許す、という五つの心の大切さを説いている。
物をもらった時だけでなく、命あること、生きていること自体もありがたい、と感謝する心が必要だ。
女優のオードリー・ヘプバーンは晩年、ユニセフ(国連児童基金)の親善大使を務めた。バングラデシュで、貧しい子供たちにパンを配った時、もらった子供はパンを半分に割り、ヘプバーンにくれようとした。人間はだれしも自己中心的に生きているが、分かち合う純粋な慈悲の心を子供は持っている。
敬う心について、メジャーリーガーの松井秀喜選手は、尊敬する人物のトップにお父様を挙げた。父親をトップに挙げる息子に父親は「もう子供は私を抜いた」と、率直に尊敬していた。
わびる・許すということは大変難しい。わびれば自分は不利になるから、なかなか謝ることができない。でも、わびることで、人間関係を良好に保てる。
妻子を殺されたら、なかなか許せない。でも、許さなければこちらが苦しい。怨みに報いるに怨みを持ってしては、怨みは永遠にやまない。怨みを捨ててこそ怨みはやむと、お釈迦様はおっしゃっている。
人間の無限の欲望を、有限の地球は、受け入れてくれるだろうか。まほろばを捨ててしまうのではないか。いつの時代も、美しい心が美しい世界をつくると思う。
(2010年3月23日 火曜日 読売新聞朝刊より)
まほろばとは、素晴らしい場所・住みやすい場所ということ。
五つの心が持てるよう、日々精進していかなくてはなりません。
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