2012年1月31日火曜日

斜め後ろを見返る仏像

仏像は普通正面を向いていますが、斜め後ろを見返っている仏像を紹介します。
その名は「みかえり阿弥陀」。

京都南禅寺から銀閣寺に向かって5分ほど歩いたところに永観堂禅林寺に
安置されています。


一日に6万回も念仏を称えたといわれる永観が、50歳の時(1086年)
読経をしながら阿弥陀如来の回りを歩く行をしていると、いつのまにか阿弥陀如来が
降りてきて、永観の前を歩いていました。あまりの恐れ多さに永観が立ち尽くしていると
阿弥陀様は振り返り「永観おそし」と声をかけて、一緒に行をしたといいます。
その時の阿弥陀如来の姿が、この「みかえり阿弥陀」と伝えられています。

永観がみかえり阿弥陀のお姿を詠んだ歌があります。

    みな人を渡さんと思う心こそ 極楽へゆくしるべなりけれ

今風に訳すと、以下のように言われています。

 自分よりおくれる者たちを待つ姿勢。
 自分自身の位置をかえりみる姿勢。
 愛や情けをかける姿勢。
 思いやり深く周囲をみつめる姿勢。
 衆生とともに正しく前へ進むためのリーダーの把握のふりむき。

「みかえり阿弥陀」は自らの態度で示して、人を思いやる大事な気持ちを教え
導いているのかもしれませんね。

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