「たとえば軍艦というものはいちど遠洋航海に出て帰ってくると、船底に かきがら がいっぱいくっついて船あしがうんとおちる。人間もおなじで、経験は必要じゃが、経験によってふえる智恵とおなじ分量だけの かきがら が頭につく。智恵だけ採って かきがら を捨てるということは人間にとって大切なことじゃが、老人になればなるほどこれができぬ」
(坂の上の雲 第2巻 p.324 秋山真之の言葉)
船底に付く貝のように、年を取れば取るほど我々にはたくさんの価値観がくっついてくる。そして貝が剥がれにくくなるのと同じように、その価値観でしか考えられなくなってくる。手放すことも可能なのにそれに必要以上にしがみついてしまう。
日々生活していると、自分にどんな貝がひっついているのかわからなくなってしまうことが多いのではないだろうか。
そして意外とそれを大切にするあまり身動きがとれなくなってしまうこともあるのではないだろうか。
人生の節目節目で我々は自分にどんな貝がついているのか見ていかなければいけないと思う。そして今置かれている環境であるいはこれから置かれるであろう状況で、必要でないものは剥がせばよい。必要な時はまた戻せばよいのだから。
剥がせば新しい貝が付着するスペースがうまれる。そこにはきっと今の自分にフィットしたあたらしい貝がひっついてくる。
価値観の多様な世の中になってきている。
そんな中で生き抜くためにも、人間ドッグも大切だが、自分自身の心の定期点検も忘れてはならないと思う。
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