仙涯和尚が死ぬ間際にお弟子さんに伝えた言葉があります。
お弟子さんたちは、有り難いお言葉が聞けると思い、周りを囲んでどんなことを話すのか耳を傾けていました。
その言葉は
「死にとうない、死にとうない」
お弟子さんたちは、何かの間違いだと思い聞き返しました。
しかし
「ほんまに、ほんまに」
と言ったそうです。
いろいろな解釈があると思いますが、名のある高僧でもこの世に未練があり、死ぬということに不安や恐怖があったのだと思います。
しかし、それを隠さずにそのままお弟子さんたちの前で「死にたくない」と言葉にできるということが凄いですね。
死と真正面で向き合い感じた言葉なのでしょう。
とても正直な仙涯和尚の「死にとうない」という言葉には、本当の強さが隠されているのかもしれません。
そしてそれは次のようなことなのではないでしょうか。
強くなることはないです。
弱い自分に苦しむことが
大事なことなんです。
人間は元々弱い生き物なんです。
それなのに、心の苦しみから
逃れようとして強くなろうとする。
強くなるということは
鈍くなるということなんです。
痛みに鈍感になるということなんです。
自分の痛みに鈍感になると、
人の痛みにも鈍感になる。
自分が強いと錯覚した人間は
他人を攻撃する。
痛みに鈍感になり優しさを失う。
いいんですよ、弱いまんまで。
自分の弱さと向き合い、
それを大事になさい。
(「聖者の行進」野島伸司)
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